北朝鮮がICBMへの搭載を試みている炭疽菌について調べた

北朝鮮がICBMに生物兵器の炭疽菌を搭載する実験を始めたとのニュースを読んだ

参考

北朝鮮が「炭疽菌ICBM」の実験を開始か? 米韓に情報HUFFPOST

炭疽菌 映画やマンガ等で良く名前は聞くが、どんな菌なのか詳しく知らない人が殆どだと思う。

炭疽菌について詳しく書いてあるオススメの本があるので
その内容からかいつまんで説明しようと思う

因みに本のタイトルはこちら

というわけで、炭疽菌についていってみよう

炭疽菌に感染するとどうなるのか

炭疽菌は、感染すると炭疽という感染症を引き起こす
どの様に引き起こすのかは本をよんでいただくとして

炭疽には大きく分けると

肺炭疽

皮膚炭疽

腸炭疽 の三つがある

一般的に炭疽の症例は95%以上が皮膚炭疽である

ちなみに炭疽菌が生物兵器や生物テロの手段として使用された場合特に問題となるのは皮膚炭疽と肺炭疽である。

したがって生物テロの武器としてはエアロゾルの状態で使用されるのが一般的で

気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾル(aerosol)といいます。
エアロゾルは,その生成過程の違いから粉じん(dust)とかフューム(fume),ミスト(mist),ばいじん (smokedust) などと呼ばれ,
また気象学的には,視程や色の違いなどから,霧(fog),もや(mist),煙霧 (haze),スモッグ(smog)などと呼ばれることもあります。
日本エアロゾル学会

芽胞を直接吸引したり、芽胞に汚染されたものに皮膚が接触した場合に発症する。

北朝鮮がミサイルに積むとしたら、恐らくエアロゾル状態の炭疽菌なのではないだろうか。

肺炭疽

肺炭疽は人が芽胞を吸入すると起こる。
吸入された芽胞がリンパ管を通して縦隔リンパ節に運ばれる
そこで芽胞が発芽し、炭疽菌が増殖

出血、浮腫、壊死を引き起こす毒素を解き放つ
そして肺胞には体液が溜まり、これが広範囲になると肺の機能が失われ、呼吸不全になる

この呼吸不全では体全体の酸素が欠乏し
昏睡状態となり死亡する

肺炭疽の場合、治療をしても致死率は80%と言われてきた

皮膚炭疽

皮膚炭疽は炭疽芽胞が割傷、擦傷に入って起こる。
多く症状が見られるのは手、前腕、顔面、頸部である

芽胞が入ってから1日~5日程の潜伏期間を経て
小さな発疹が出来てくる
痛みもかゆみも無いが
24時間から36時間後に小さな水泡が発疹の真ん中にできる

この発疹が破れると壊死性の潰瘍ができ、この潰瘍が乾燥すると黒いかさぶさになる
水泡や潰瘍の周りには浮腫ができる

この段階になると、肉眼でも皮膚炭疽と認識出来る様になる

浮腫はその後広がっていき、顔全体や、腕全体に広がる事もある

感染した患者の症状は発熱、全身倦怠感、頭痛等

黒いかさぶたは2-3週間後にはがれていくが痕を残すこともしばしばある

皮膚炭疽の死亡率は抗生物質を投与した場合は1%未満であり
投与しない場合でも20%程度である

腸炭疽

腸炭疽は炭疽菌に感染した動物の肉を食べた場合、特に生肉を食べて起きる事が多い

潜伏期間は1-7日間である

主要症状は頭痛、吐血、血便

早期から治療しても、死亡率は25%ほどである

炭疽菌の予防と除染と治療

予防対策として、アメリカやロシアでは炭疽菌のワクチンが作られ、接種されてきた

18か月に6回接種する必要があり、しかも副作用による死亡例も報告されている

さらにアメリカでは米国食品医薬品局(FDA)が認可していない為

対象は軍人のみで 民間ではまだ使用されていない

一般に炭疽菌芽胞の曝露が疑われても、症状が発生していない場合は
抗生物質のシプロフロキサシンまたはドキシサイクリンを経口的に投与する
アメリカでは、炭疽菌テロが疑われる場合、60日間の投与が行われる

個人的に曝露を受けた場合には石鹸と水を使って十分シャワーで洗い流す事も大切である

また、アメリカでの炭疽菌事件で汚染された郵便物は
まとめて放射線で除染されたと言われている

炭疽の治療

肺炭疽にしても皮膚炭疽にしても
出来るだけ早期から抗生物質治療を行う事が大切である

肺炭疽の治療には
シプロフロキサシンまたはドキシサイクリンの静脈注射が広く行われているが
日本では静脈注射用のドキシサイクリンは製造、販売されていない

症状が改善した場合にはこれらを経口投与する

アメリカで起きた炭疽菌テロ事件

2001年10月2日
あの9.11同時多発テロ事件より一ケ月もたたないある日

アメリカン・メディアが発行している大衆紙 ザ・サンに勤務する60代の男性編集者が発熱、頭痛、嘔吐を訴え
地元の救急センターに運ばれた

彼を診察した医師は髄膜炎を疑い、髄液を採取、検査したところ
炭疽菌が無数見つかった

その後男性はけいれん発作を繰り返し、三日後の10月5日に死亡した

死亡後、解剖の結果、男性は肺炭疽に羅漢していたことが判明した

炭疽という病気が都心のビルで発生する事自体が異質だったため
公衆衛生局が男性が勤務していたビルに立ち入り検査をしたところ

同じ新聞社に勤務していた男性が呼吸器疾患で地域の病院へ入院していることを突き止めた

この男性の鼻腔と、仕事をしていた部屋のPCのキーボードから炭疽菌が発見された

連絡を受けたFBIはこのビルを直ちに封鎖
出入りしていた従業員約700人全員に炭疽菌感染の有無を確認したうえで
抗生物質シプロフロキサシンを予防薬として投与した。

この事件から一週間後の10月12日
今度はニューヨークのNBCテレビ局に勤務する女性職員が皮膚炭疽にかかっていることが判明した

更に10月15日には
ABCテレビ局の女性プロデューサーの7か月の息子が

10月18日にはCBSテレビの女性社員が感染するなど

アメリカのテレビネットワークで炭疽菌の被害が拡大した

いずれも郵便物を取り扱っていた人が感染したことから
炭疽菌を郵便物で送りつける生物テロの可能性が高くなった

その後もテロは続き

合計22人の感染者を産み出し、肺炭疽が11人、うち5人が死亡している

終わりに

この記事でまとめた内容はこの本の一部分にすぎません

炭疽菌の軍事利用の話や、ソ連で発生した、「炭疽菌が漏れ出し大量の犠牲者を出したスヴェルドロフスク事件」

炭疽菌が炭疽を引き起こす詳細な仕組み 等々

かなりのページを割いて説明しているので、興味がある方は読んでみては如何でしょうか。